いろいろな人が集まってきて、仕事を通して生まれたさまざまな交

いろいろな人が集まってきて、仕事を通して生まれたさまざまな交流の輪は、どんどん広がつていったのだが、そんな中に、ロック界の大御所、内田裕也うちだゅうやがいた。彼を知って驚いたのは、まず、すっごくモテる、ということだった。女にサービスしてモテている男はいくらでもいるが、彼はその反対の、まったく何もしないでモテる男だった。さまざまなミュージシャンを見た私だが、これこそ最高のモテ男、と確信したのが彼である。けっして男前でも美声でもない。どちらかというと犯罪者面で、声もボソボソしている。なのにいつも美女連れ、それもわけあり、といったふうだ。聞こえてくる噂も華やかなものばかり。ひにじ彼が女を魅きつける秘密は、どうも、その体から凄み出る気迫に原因があるようであった。黙ってすわっていても、なんともいえない存在感がある。一緒にいる普通の男は負けてしまう。いくら女に親切にしたって、この、レコードの骨折り損というものだ。まさに存在感だけで女が参ってしまう男、それが裕也対叫械であった。大明神、私は、彼にはいつもこの称号をつけて呼ぶことにしている。実は、彼は怒るとものすごく怖いのである。底丁片手に殴込みをかける、という恐ろしいことをやってのけたりする。それで崇りたたを恐れて大明神などと一-一一口うのである。彼は、私がやっていたライブハウスにしばしばきていた。といっても、ロカーである彼がジャズに殴込みをかけてきたわけではない。ただ飲みに来ていただけである。いつも何人かの子分と女たちを連れて、態度は穏やかだが、何かこう、捕まえておかなければ軍鶏のように地面を一蹴り、今にも爪を立てて飛びかかっていきそうな印象があった。事実、周りの気の弱そうな男たちは、絶えずピクピクしていた。「手のつけられない暴れ者」とか「権力に対して徹底して反抗する」とか「束縛が大嫌い」といたけだ吟うような、猛々しい評判が耳に入ってくる。一度、彼の子分が彼の主催するコンサートに連れていってくれたことがあった。次々に出てくぺたるパンドがド下手もいいとこで、気分が悪くなり「帰る」と言ったら、その男が泣きそうな顔で帰らないでくれと頼む。,,品,易、,もう必死という形相なので、驚いて、どうしてそんな顔をするんだと聞くと、もうすぐ大明しゅりんら舞台から手裏剣が飛んでくるかもしれない、などと言う。おほとんど怯えている感じで、手を掴んで放さない。